今年も暑い夏がやって来ました。水辺の恋しい季節です。
皆さんは水泳得意ですか?
私は水辺が恋しいと言いながらも、それほど得意ではありません。私たちが子どもの頃はスイミングスクールなどほとんどなく、学校の授業や親から教えてもらうだけ。
私は特にクロールが苦手でした。息継ぎで吸おう吸おうとしても十分に息が入らない、だんだん力んで体が沈んできてしまう、もがきながら何とか課題の50mをクリアするという状態で大人になりましたが、運動不足解消のために通ったマタニティースイミングで、
”息はまずは吐かないと吸えない“
ということを初めて教えてもらいました。
鼻から“フンー”と息を出して、“パア”と言いながら軽く顔を横に向ける、
それだけで自然と息が吸える。
これができるようになって、やっと楽に呼吸をして少し泳げるようになりました。
(もう15年以上プールや海水浴に行ってないので、多分今は泳げないと思いますが…)
さて前回、朗読で伝えるためには話すように読むことが大事、まずは姿勢に気をつけ、伝えようという気持ちを持つことによって“伝わる声”が出てくるというお話をしました。
(前回記事「”伝える”ために」)
では次に、どのように読めば話しているときのように内容が(文の意味が)伝わるのでしょうか。
聞き手は、
声だけで、
それも一回聞くだけで、
どんどん出される情報を理解していかなければなりません。
どんなに声が美しく発音が正確でも、読み手が、見えてくる文字を、あまり考えず自分の息の都合で切って読んでいては文の意味は伝わりません。
また、句読点“、”に従って読むというだけでは伝わらないことも多いです。
(多くの作家はこだわって“、”を付けているそうですので、決して無視をするという事ではありません。)
文章の中の言葉にはたくさんの意味のかかりがありますから、それを十分読み取って、意味の繋がっているところを息を切らないで読む
(意味の切れ目で息継ぎをする)、
それによって“間”ができて、聞き手が意味のまとまりを理解することができるようになるのだと思います。
書かれた文は、たくさんの意味のかかりがあって中には長いものもあるので、たっぷりとした息が必要となる事があります。そんな時、読んでいる方に「たっぷり呼吸して!」というと、肩を上げてがんばって吸おうとしてしまう方がいます。吸おう吸おうと思っても入らない、これは水泳の息継ぎと一緒です。
まずは、軽くあくびをするような一番リラックスした喉でたっぷり吐く。
(朗読は発声しますので吐くのはほとんど口からです)
吐ききったら、横隔膜あたりの力を抜いて頭をほんの気持ち持ち上げる、それだけで息が入ってきます。
この呼吸をマスターし余裕のある息があれば、意味のまとまりに合わせた息の使い方ができるようになります。
文章ごとに意味のまとまりを考え、それに自分の呼吸をどのように合わせていくかを考えて読むことが、話すように読むことにつながっていくことの一つかと考えます。
吐くことからはじまる余裕のある息を朗読に取り入れてみてください。
朗読アカデミー四季の森 井口朗読教室講師 井口伊佐子
20217.22