朗読のコツは日常にあり

朗読コラム

私はどこへ行くにも電車を利用します。運転免許証は持っているのですがペーパードライバーで、身分証明書がわりに使用する為に持っているようなものですから、マイナンバーカードも作りましたし、そろそろ返却を考えようかなと思っているところです。

さて、今はまだコロナが怖くて会話をしている人も少ないですが、車両では様々な方の話声が聞こえてきます。
ぼそぼそと小声で話していても、時折声が大きくなって聞こえてくることがあります。

「いや、ほんまぁ?」
「そうなんよ」

一体なにがほんま?で何がそうなのか、とても気になることもあります。
はっと驚いたり説得力を増した受け答えの場合は少し声が大きくなってしまうものなんですね。それは心の底から相手に同調した時に現れる表現なのでしょう。

朗読は、ナレーションの部分と違って会話のシーンでは双方の距離を聴き手が感じ取れるかも大切な要素です。

声をひそめたシーンでは、本当に声をひそめすぎてしまうと聴き手に声が届きません。

では、どんな声を出せば良いのか?ひそめた声は決して高くはありませんよね。

また、1階から2階へ声をかける時、
後ろから声をかける時、
正面から声をかける時、
道路を挟んだ向こう側から声をかける時。
その声に答える相手はどんな声を出すのかも違います。

この台詞のボリュームがこの大きさなら、
ここではどの程度の声量が必要か、
声は高い?低い?
場所はどこ?雑踏の中なのか静かな場所なのか、
座っているのか立っているのか。

大きな声を出す時は勿論ですが、ひそんだ声を出す時も意外にお腹に力が入っていることを意識したことはありますか?
是非お友達やご家族と過ごされる時間、ほんの少し集中して過ごしてみてください。

日常の中には、聴き手が自然に受け入れられる朗読のヒントがたくさん隠れています。

電車の中では耳をそばだてて盗み聞きしているような、ちょっと悪いことをしている気分も味わいつつ、日頃の生活を過ごしてみてください。
面白い発見があるかもしれませんよ。

朗読アカデミー四季の森
久保朗読教室  講師 久保 和子