古典の日朗読コンテスト(2021年)文部科学大臣賞受賞

2021年も行われた古典の日朗読コンテスト。

朗読アカデミー四季の森朗読教室受講者駒木玲子さんが本選に出場され「特別賞:文部科学大臣賞」を受賞されました!

当日の様子や音声をこちらから見る事ができます。朗読コンテスト|古典の日|11月1日は古典の日

駒木さんは古典に興味があり、毎年古典の日朗読コンテストに応募されてがんばってこられました。また、エッセーも自作され、朗読教室のクラス内の朗読発表会では自作エッセーの朗読をされたりしています。

そんな駒木さんから受賞の気持ちを書いていただきました。

秋晴れの日、金剛能楽堂にて

駒木玲子

最終審査会当日、自分の名前を告げると「駒木さんですね、いつもどうも」と、受付の女性がにっこりしました。

え、「いつも」・・ですって?

後で調べてみたら、このコンテストに私が初めて応募したのは、何と2011年でした。以来、毎年春には図書館で課題の古典の本を借り、夏にはにぎやかな蝉の声と戦いながら朗読を録音して応募するのが、年中行事となっていたのです。

この年中行事は、いつも夏で終了するのですが、今年は久しぶりに秋まで続いてゆきました。5年ぶりの、最終審査会への出場です。

5年前は、11月はじめにひいてしまった風邪が3週間も長引き、最終審査会直前まで寝込んでいたという苦い経験があります。

風邪などの感染症に弱い私です。体力を温存するため、最終審査会前は仕事を休むことにし、早々に休暇願を出しました。

現代文も古典も基本的に同じスタンスで、聴いている人の心に語りかけるように読めればと、私は思っています。しかし、古典ではもうひとつ、何か雅(みやび)なエッセンスを加えたいような気がします。

あーでもないこーでもないと、いろいろ悩みながら迎えた最終審査会の当日。

金剛能楽堂の舞台に立ち、まずはそこそこ順調に読みはじめました。比較的短い朗読なので、文章はすべて記憶していました。

全文を暗記しているという慢心があったのかもしれません。ページをめくるタイミングが少し遅れました。その瞬間、ふっと原稿から眼が離れ、少しトチってしまいました。原稿には、高く出る所、低く抑える所など、注意点をいろいろなマークで書き込んであるのですが、それを見る目がそれてしまったようです。

「あ、今回もこれでおしまい・・」と力が抜けてしまいましたが、「とにかく最後まで読もう」と気を取り直して読み続けました。すると、客席の方々の顔がはっきりと見えてきたのが不思議です。

入賞は完全にあきらめていましたのに、思いもよらない賞をいただくことができました。金剛能楽堂からの帰り道、秋晴れの空を眺めながら思いました。ひょっとして、これは「朗読の神様」が、毎年古典を読み続けてきた私に下さったプレゼントの皆勤賞かもしれないな・・と。